黒魔術

統計の取り方で違ってくるのだろうが、アメリカの軍事力は、世界全体の軍事力のほぼ半分だそうだ。これは、世界中を敵に回しても、アメリカは互角に戦えるということだ。
ブッシュが大統領になってから、アメリカの一国支配主義(unilateralism)ということがよく言われるようになった。京都議定書から離脱したり、ABM制限条約を破棄したり、ブッシュ政権のなんとも自分勝手なやりように対して「一国支配主義」という言葉が充てられているのだが、unilateralismを辞書で引いてみると「一方的軍縮主義」という訳語が出てくる。
もちろんブッシュ政権は、アメリカの軍事費を削減し、一方的に軍縮をしようなどとは考えていない。それどころか、弱者を切り捨ててでも軍備増強をすべく画策している。
軍事費に関して、反ブッシュを掲げる多くの民主党候補者も、実はブッシュよりだ。メディアからはイラク攻撃反対の急先鋒とされているハワード・ディーン前バーモント州知事でさえ、国防省の予算削減には反対だ。
このことについて、クシニッチ氏は次のように言っている。
「私は、軍事費を増加させながら、なおかつ国内の中間層と低所得層(労働者階級)に関する政治的課題を解決できるという他の民主党員に同意しません。そんなことは不可能です。それは黒魔術的予算編成です。」
悪魔に魂を売った候補者は誰なのか、しっかり見ていきたい。
(written by Kuma)

ドン・キホーテ

デニス・クシニッチ下院議員が大統領選に出馬表明をした当初は、ほとんどメディアから相手にされなかった。
企業献金を一切断って、上限2000ドルの個人献金だけで大統領選挙を戦おうというクシニッチ氏には、初めから勝ち目がないか、あるいは勝つ気が無いとでも判断したのだろうか?
従来の物差しで選挙戦を捉えれば、メディア戦略に十分耐え得る資金力が勝負を分けるということになるのだろうが、そのメディアへの信頼は、イラク攻撃によって決定的な打撃を受けた。少なくとも日ごろ慣れ親しんでいるTV局の報道の中立性が失われたということをアメリカ国民も十分理解したはずだ。
勝敗を分けるのは、あるいは放映権料の多寡ではないかもしれない。

ところで、スペインのラ・マンチャ地方ドン・キホーテゆかりの地で、ドン・キホーテが泊まった宿屋とか、ドン・キホーテの愛したドゥルシネア姫の家とか、架空の話なのに、なぜかそういうものが、平原の中に点在する村々のあちこちにある。
ドン・キホーテは、人々に愛されているのだ。
デニス・クシニッチ氏は、意地悪なメディアから見ればただのドン・キホーテかもしれない。
だから親しみを込めた支持を集めているのだと思う。
(written by Kuma)

デニス・クシニッチを知っていますか?

デニス・クシニッチという名前を聞いたことがあるだろうか?
名前の感じから、サッカーファンなら、ストイコビッチコバチェビッチ、ボクシッチといった旧ユーゴ圏のプレーヤーを連想するかもしれない。
クシニッチ、スピナッチ、ほうれん草の新種か? と思う人もいるかもしれない。
どちらもある意味で正しい。
旧ユーゴ圏のサッカーは、ファンタジックで華麗なプレースタイルを信条としている。かつて名古屋グランパスに在籍していたピクシー、ドラガン・ストイコビッチは、その卓越した発想のプレーで、我々を魅了してくれた。
スピナッチは、言わずと知れたポパイのカンフル剤。ほうれん草を食べたポパイは、一気に形勢逆転。瞬く間に悪党を叩きのめす。
アメリカ大統領候補デニス・クシニッチは、平和のための卓越した発想とカンフル剤になり得る政治家なのだ。
(written by Kuma)