大停電とクシニッチ

この度のアメリカ北東部の大停電とクシニッチ氏は無関係ではない。
まだ正式な発表はないが、停電の原因はファースト・エナジー社の老朽化した送電設備にあるという見方が強くなっている。このファースト・エナジー社の前身は、クシニッチ氏がクリーブランド市長時代に、市営の電力会社Muny Lightの売却をめぐり争ったクリーブランド・エレクトリック・イルミネイティング社(CEI)である。(売却問題に関することは、当サイトの、About DENNISの《青年市長の正義》を参照してください。)
事実上の破綻状態にあった当時のクリーブランド市の財政を救済するために、Muny Lightの売却を迫る銀行に対し、クシニッチ氏は電力会社の民営化は恒久的な電力料金の値上げにつながるとして売却を拒否し、そのために再選を阻まれ、15年という長期の浪人生活を強いられることになった。
だが、その後クシニッチ氏の市民の側に立った決断の正しさが再評価され、クシニッチ氏は政界に復帰を果たした。
アメリカのエネルギー政策は、経済効率優先の考えから大幅な民営化が進められてきているが、民間会社が経済効率を優先するあまり、電力の安定供給にかけるコストをカットしたために、この度の大停電だけでなく慢性的な電力不足という事態を引き起こしている。
どこかの国の政権は、何でも民営化したがっているが、大抵の場合、民営化は単なる問題のすり替えでしかなく、国民はそのツケを払わされることになる。(おそらくは世界一高い鉄道料金はそのいい例だろう。)民営化すれば問題がすべて解消されるというのは幻想だ。どこかの国の政権がなにを目指しているのかしっかり監視しなければならない。
(written by Kuma)