ラルフ・ネーダーが認めた男

ラルフ・ネーダーは60年代に登場した消費者運動家だ。彼は容赦なく工業製品の不備を突き、消費者保護の神様的存在になった。当然、彼の信奉者も多く、彼はアメリカの経済と政治に最も影響力のある人物だった。
しかし、彼は鋭すぎた。かつて彼と行動を共にした者の一人は、彼の手法を「独善的でスターリンのようだ」とさえ言った。彼の手法についていけずに、多くの者が彼の元を去っていった。あの、マイケル・ムーアもかつてはラルフ・ネーダーのスタッフだった。
時は流れ、前回の大統領選。ラルフ・ネーダーは、緑の党から立候補した。結果だけ見れば惨敗であったが、民主党支持者のうちのリベラル派がネーダーの支持に回るなど、少なからぬ影響力を見せたのはさすがというべきか。
今回の大統領選でも、ネーダーが緑の党から出るという話があった。しかし、ネーダー本人が、クシニッチ氏に投票するようにと発言した。あのネーダーがだ。高齢になったネーダーが自分の果たせなかった夢をクシニッチ氏に託したと考えるのは、少々センチメンタル過ぎるが、クシニッチ氏がネーダーのお墨付きをもらったことは、プラスもマイナスも含め、いろいろな面で大きい。
そしてクシニッチ氏本人も、先ごろネーダーと緑の党員に向けて支持を訴える公開書簡を発表した。
民主党というよりは、緑の党のような政策を掲げるクシニッチ氏にどれほどのリベラル層の支持が集まるのか、大いに期待したい。
(written by Kuma)